越境ECで大きな成功を収めている国内企業の1つが、アニメのキャラクターグッズなど、日本のポップカルチャー関連製品を販売している「Tokyo Otaku Mode」です。同社のFacebookは約1700万の「いいね!」を獲得し、その約99%を若年層を中心とした外国人ユーザーが占めています。
「Tokyo Otaku Mode」は、既存のオークション取引の信用性の低さや、海外における日本のポップカルチャー関連製品の流通量の少なさに着目して2013年に海外向けネット販売をスタート。2014年8月に販売開始した寿司ネタをかたどった靴下「スシ・ソックス」が海外各国の雑誌やWebサイトなどで話題を呼び、同年12月には単月で約1億円の売上を達成しました。
「Tokyo Otaku Mode」は越境ECで勝ち続けるためにさまざまな取り組みを行っています。その1つが海外の越境ECモール運営者との連携です。
「Tokyo Otaku Mode」は、中国のアリババが運営する越境ECモール「天猫国際」(Tmall Global)に出店した際、アリババ本社がある中国・杭州に担当者を派遣。代理店を通さず、現地の消費者の動向やトレンドについて直接アリババの担当者と話し合い、親密な関係を構築しました。その後もチャットを通じてアリババのスタッフと継続的な打ち合わせを行っているといいます。
同社CFOの小高奈皇光氏によれば、「越境ECの市場が大きいからとはいえ、ただ漠然と出店するだけでは成果をあげるのは難しく」、「次のキャンペーンは何か、例えば、『独身の日』に向けて保税区にどの商品を入れるか、といったコミュニケーションをしっかりとっておかないと売上を作りにいけない」と言っています。
また、「Tokyo Otaku Mode」では、海外販売ならではの長距離配送への対策として、商品の梱包用に強度のあるオリジナルのロゴ入りダンボールを使用。配送中の荷崩れや商品の破損を防ぐとともに、自社内の倉庫で出荷オペレーションも内製化しています。
「Tokyo Otaku Mode」は右肩上がりで成長を続けており、アメリカ、中国、カナダ、オーストラリアを中心に、既に100か国以上に商品を出荷。2015年10月には三井物産とリクルートからの資金調達も発表されるなど、今後の動向が大いに注目されます。